配偶者の保険・年金・マイナンバー

健康保険について

海外赴任する場合の健康保険は、夫は原則として勤務先の健康保険(健康保険組合または政府管掌の健康保険)が継続されますが、勤務先を退職して帯同する妻の場合は夫の被扶養者として手続きをする必要があります。
手続きは、基本的には夫の勤務する会社が行なってくれるが確認を怠らないようにしよう。
夫の被扶養者としての認定を受けるには、年間収入130 万円未満などの要件を満たさなければならないが、健康保険組合、政府管掌健康保険とも渡航時に年収130 万円を超えていても、今後の年収が130万円を超えない予定なら被扶養者と認めています。
しかし、健康保険組合によっては要件を厳格に適用しているところもあるので注意しよう。
国民健康保険は、住民票のある市区町村で手続きするが、夫に帯同して海外居住者となる妻は住民票がないため加入することはできません。
妻が退職前に加入していた健康保険を任意継続する方法もあるが、この場合は保険料が全額本人負担となるので慎重に検討する必要があります。


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失業保険について

一般的に失業保険は仕事を辞めた後、求職活動が継続されていれば、3 カ月の待機期間終了後に受給可能となります。しかし、妊娠、出産、育児、疾病または負傷など一定の事由で、受給期間の中で30 日以上仕事に就くことができない場合は、特例として最大で3 年間の延長が認められています。
夫の海外赴任に妻が帯同する場合も、雇用保険の受給期間を延長することが可能なので、必ず失業保険の延長手続きをしておきましょう。
受給期間を延長するためには、次のような書類が必要です。
①受給期間延長申請書
②雇用保険被保険者離職票- 1
③雇用保険被保険者離職票- 2
④海外赴任の辞令(配偶者の勤務先発行)
⑤婚姻関係が証明できる書類 (住民票、戸籍謄本など)
⑥身分証明書
⑦印鑑
⑧パスポートのコピー
⑨出国日が分かるもの (パスポートの出国日スタンプのコピー)
出国後の手続きは現実的に困難なため、パスポートのコピー以外の書類は事前に提出し、後からパスポートのコピーを提出することも可能です。
代理人による申請や郵送も受け付けてく
れます。
公共職業安定所での手続きが完了すると通知書が郵送されますが、海外へは郵送してもらえません。
どうしても海外へ郵送してほしい場合
は、国内の友人や親戚に送付してもらうよう依頼しておくとよいでしょう。
帰国後、通知書などの必要書類を公共職業安定所に提出し、求職の申し込み(基本手当受給の手続き)が認定されれば、失業保険の受給資格者証が交付されます。
帰国後は、受給期間の延長期間ではなくなるので、速やかに手続きを済ませましょう。失業保険の給付は、職に就く意思があり求職活動をしている人が対象なので、帰国後に専業主婦になるような場合は給付の対象になりません。


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年金について

国内におけるすべての年金(厚生年金・国民年金・共済年金など)は、海外勤務になっても継続することができます。
夫に帯同する妻についても国内と同じ扱いで すが、夫の厚生年金が継続され妻が海外赴任に 伴って仕事を退職する場合は、第3 号被保険者 になる手続きが必要です。妻がもともと専業主 婦の場合は、第3 号被保険者なので手続きは不要です。

夫が厚生年金の継続されない現地法人などに勤務する場合は、加入者でなくなるので新たに任意で国民年金に加入する必要があります。加入できるのは20 歳以上65 歳未満ですが、加入期間によって将来の年金の受給額が変わってくるので注意しよう。
国民年金への申し込みは、各市区町村役場で受け付けています。申し込み用紙は、赴任先の在外公館(日本大使館など)にも備え付けてあります。
年金は配偶者の勤務先によって取り扱いが異なる場合があるので、必ず夫の勤務先に確認しておこう。勤務先での取り扱いが分かれば、自分で行なわなければならない手続きなどもスムーズにいきます。


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マイナンバーについて

マイナンバー(個人番号)は、日本に住民票を有するすべての人に発行されるもので、外国籍(外国人)であっても日本に住民票があれば発行されます。逆に日本に国籍があっても住民票がなければ発行されません。つまり、海外居住の日本人は日本で住民票を作成しなければマイナンバーは発行されない、ということです。また、夫が海外赴任した場合、本人の個人番号がなくても、国内に居住する家族には個人番号が発行されます。
海外赴任のため一時的に住民票を除外する場合は、マイナンバーそのものが失効するので居住する市区町村に返納しなければなりません。
海外から帰国後、再び日本で住民票を作成した場合は、最初に発行された番号がそのまま使われるので個人番号は一生変わりません。
海外赴任者にとって注意しなければならないのは、マイナンバー制度の導入に伴う海外送金です。これまで日本の銀行口座から100 万円以上を海外送金する場合、当局は銀行に送金記録となる「国外送金等調書」の提出を義務づけていましたが、マイナンバーの導入により「国外送金等調書」にマイナンバーを記載しなければならなくなりました。100 万円以下の海外送金は報告書の提出義務がないので、マイナンバーを記載しなくても問題ありません。


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海外保険の知っておきたい5 つのポイント

(契約内容は保険会社によっても違いますので担当者に確認を取ることが重要です)
 

❶ 使いすぎに注意

海外保険に加入すれば医療費は保険会社の負担となりますが、何度も病院にかかると保険会社から更新(延長)を拒否されます。
病院にかかるの
は「いざ」というときだけにしたほうがよいでしょう。
また、現地アシスタンス会社を使った場合は
請求内容を見せてもらうとよいでしょう。
 

❷ 保険期間は予定滞在期間いっぱいに

海外保険の更新基準は厳しく、保険が切れた場合、海外では加入できませんので、保険期間には予定の滞在期間いっぱいにかけることをおすすめします。
その際、一時払いなので保険料は高くなりますが、更新拒否の心配もなく帰国が早まった場合、保険金は月単位で戻ってきます。
 

❸ 一時帰国中も使えます

3カ月以上の長期滞在保険特約事項で、一時帰国中に日本の病院にかかったときも保険が使えます。
ただし、30 日間を超えると使えなくなるなど制
約がありますから保険会社に問い合わせてください。

 

❹ 持病には特約が必要

海外旅行保険は海外で発症した病気やケガを対象としていますので、持病や既往症、歯科治療、出産などには適用されません。
これらのケースは
特約扱いとなりますので、70 歳以上の方も契約時によく確認して担当者と相談してください。
 

❺ 帰国後の発症にも適用されます

特定の感染症、その他海外で発症した疾病に関しては、帰国後に発症した場合も保険が適用されます。
発病時期、期間などに制約がありますから
保険会社に問い合わせてください。


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